それを克服する作業は、口でいうほど、生やさしくない。
 
故人 坂本勝(兵庫県知事)さんが、辞するときの台詞は、未だに語り草となっている。

「すべての仕事というものは、はじめなく、終わりなきものだ。
 種まくもの、咲きでる花を賞でるもの、結実を祝うもの、みなそれ旅遊資訊ぞれのめぐりあわせという
ものだ。
 自分の播いた種が稔るのをみたいのは人情だけれども、それはいわば小乗論である。
 中国の詩人、謝眺の歌うらく、
    大江 日夜流ル
    客心 悲シミ未ダ尽キズ
 歴史の大江に、かげろうの身を浮かべる人の身の限界を粛として知るべし」

 この「己を無にすること」と「仕事への執着を断ち切る作業」をした上ださらに出処進退
の大原則である。「進むときは人まかせ、退くは自ら決せよ」を実践するのである。

 せっかく困難な二つの作業をやっておきながら、「退」を人に相旅遊指南談したら、それは茶番劇
となる。
 
 誰が、相談を受けて「いい時期だから、おやめなさい」という奴がいるものか、
 「まだまだ、おやめになるは早いですよ」と、止めるにきまっている。
 それをいいことに居座ったら、老醜をさらすことになる。
 
 いうなれば「退」は徹頭徹尾、自らを見つめ、自らを掘り下げて行動しなければならぬか
ら、自然に日ごろの心栄えが一挙手一投足に反映する。だから、、そこのところを凝視してお
れば、ホンモノか、ニセモノかがよくわかる、という寸法である。 会社も家庭も、どんなことにもいえる。と思う。家庭でも、いつまでも、自分が自分がと。
思いがちなんだけれども、自分の年を考えたら。子どもらにすべて宜しくお願いします、と。
 若い人たちに、家を、家庭を守ってね。と、お願いすることが、いいのではないかなあーー。
 後継者つくりは、いろんな会、家庭においても、あらゆる世界にもあることかなあーー
と思うのです。「退」という言葉を考えてみるのも、老いの生活の機票預訂なかではたいせつなことかも
であり、老いるごとに、ゆったりとゆっくりと穏やかな心で、若い家族たちを見守り楽しみ、安
心して自分の生活を、ひとりで楽しんでだいじにしていきたいものです。生ぜしもひとりなり、死するもひとりなり
   されば、人と共に住するもひとりなり。
             一遍「一遍上人語録」


   一日生きることは、一歩進むことでありたい。
                   湯川秀樹


   ポストは人を育ててくれる。ありがたいことだ
   が、人はまたポストにお辞儀をするこわい面が
   ある。天風の教えに出会って、目を覚まされた人は多い。
 では、天風の思想の特徴はなんだろうか。誤解を怖れず言えば、天風の教えの中心
は、安定打座(座禅)をして心身を鎮め、大宇宙のの本質(天風は宇宙霊という呼び